中学校社会科副読本『私たちの小平』が刊行されたのは、一九八五(昭和六〇)年三月のことであった。この副読本は、「フィールドワークなどをとおして、自分の力で地域の社会的事実、事象をとらえ、確かめ、日常の生活に役立てるとともに、身近な地域から日本、そして世界へと視野を広め、地域を愛し、国際社会の中で活躍できる日本人へと成長して」(「中学校、社会科副読本の活用を願って」)いくための教材として編集されたものである。とくに歴史的分野では、鈴木遺跡をはじめ、武蔵国分寺跡や武蔵七党、鎌倉への道など眼に映ずる史跡や、小平の民間に伝わる伝承資料なども積極的に活用した内容になっている。
図7-25 『私たちの小平』
1993年改訂版
中学生向け副読本の刊行は、小学校の副読本よりおよそ四半世紀が経過した後だったが、編集が進むなかで、それを担った中学校社会科教員を中心に小平市教育研究協議会社会科研究部が生まれた。その部会は、一九八四年度の研究主題に「郷土小平をみつめ直し、授業への導入を考える」を掲げ、この郷土研究の成果を生かす授業づくりに積極的に取り組むことになったのである(同前)。