中央図書館のもう一つの特色が、児童サービスである。いかに本を読む楽しさを子どもたちに伝えるかを追求している活動である。館外の小平子ども文庫連絡協議会と連携し、『小平子ども文庫しんぶん』を刊行する一方で小・中学校との連携を深め、学校図書館への本の貸出などのほかに図書館見学会、職場体験会、夏休み推薦図書リストの作成など、児童向けサービスにも積極的に取り組んでいる。とくに「学級文庫」と銘打って学校のクラスごとに図書の貸出をしているのが目立つ。一九八九(平成元)年には四校八三三冊が、二〇〇八年には一六校一万二七五六冊にまで増えている(『図書館事業概要』)。
また、時宜を得た子ども向けの刊行物も出している。郷土小平の歴史を子どもたちにわかりやすく解説した「としょかんこどもきょうどしりょう」なども、その一つである。これは児童の学校での学習課題に対応させたもので、一九九〇年一一月にはじめ、第一号は「小平市内めぐり」と銘打って、市内の史跡紹介をイラストマップ入りで紹介した。その後も街道や鉄道、事件、さらには農業や商業と幅広く郷土の歴史や産業を毎月一回ずつ刊行し続け、その号数は四一号(一九九五年九月)におよんだ。これらは職員が『小平町誌』などを参考に手作りで刊行したものであり、児童の夏休み課題(郷土研究など)に好評である。
さらに小学生以下の幼児に対しては、館内におはなし室を設け、定期的に「おはなしの会」や「絵本のへや」を催している。ここではストーリーテリング(お話)をおこない、主に昔話、時には創作などを子どもに語り、読書活動への動機づけに努めている。また「いとぐるま」(後述の子ども文庫連絡協議会の一セクション)の会員と協働して、多くの人びとに語りを通して物語世界の楽しさ、おもしろさを提供している。そしてその活動は館内にとどまらず、老人福祉センターや障がい者施設などへもおよんでいる。