運動が結ぶ地域のつながり

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めざす会の結成からあさやけ作業所の設立、小川駅エレベーター設置に至る一連の運動は、小平におけるくらしを支える仕組みが一九七〇年代に整備されるうえで大きな役割を果たした。この運動をつうじて、健康で文化的な最低生活の権利保障を求める運動と福祉行政の懇談の機会が開かれ、そこから福祉の仕組みが整備されていった。小平には小平養護学校があったものの、都立ゆえに地域とのかかわりがうすく、逆に地域の側でも障害のある人たちとの接点は乏しかった。一九七〇年代の一連の障害者をめぐる運動は、それまで地域にあったさまざまな垣根や学校問題という枠を乗り越えて、障害のある人たちと地域の人たちが共同で取り組む機運を高めるものであった。
 アンケート調査をつうじてめざす会の人たちが気づいたように、障害者をめぐる問題とは、生活・教育・医療・労働・街づくりなど、社会の全般にかかわることであった。そして、障害者の運動を支えることは同時に支えられることであったように、障害者をめぐる問題は障害者だけのことではなく、地域にくらす人びと全体にかかわることであり、一九七〇年代の小平では運動を通じてこのような意識がひろがっていった。一九七〇年代の小平で福祉をめぐる認識がひろがるうえで、障害者の運動は大きな役割を果たしたのである。