「新長期総合計画」には、一九七〇年代以来の小平市でのさまざまな取り組みが反映されている。そのなかの「ふれあい」と「緑」にかんして指摘する。
一九七〇(昭和四五)年に策定された「長期総合計画」は、一〇年後の一九八〇年に「第二次長期総合計画」を策定し、「長期総合計画」の残りの五年間の計画を練り直している。「長期総合計画」と「第二次長期総合計画」で叙述が大きくふくらんでいるのが福祉と公園・緑地・用水の分野である。福祉の分野では、精神衛生から児童福祉・母子福祉・老人福祉・心身障害者福祉・低所得者福祉などの社会福祉の現状と課題について多くのページをさいている。公園・緑地・用水の分野も叙述が格段と多くなっている。
二つの分野の叙述の増加の背景には、本書の第七章で詳しく述べたように、福祉の分野での医師や保健婦、ケースワーカーらの専門家による取り組みや、身体障害者自身を含めた身体障害者の権利を保障する運動、それと行政との連携があり、小平用水を守る会による用水のもつ歴史的・文化的価値の見直しがあった。これらの活動が「第二次長期総合計画」の策定の前提にあったということができる。