二〇〇三(平成一五)年には、「新小平市地域保健福祉計画」(第二次)が策定されている。将来目標が「あんしん地域保健福祉の実現」におかれ、高齢者、障害者、子どもたちなど地域にくらすすべての人が、ともに平等に、社会を構成する一人として、生きがいをもって生活し、活動できる魅力あるまちづくりが必要であるとし、ノーマライゼーションの考え方のなかで、すべての人が、自由・安全・快適な生活を営むことができるように、「自立」「支えあい」「思いやり」をキーワードとして、安心を約束する地域保健福祉の実現を図ることが必要だとした。
この間、二〇〇〇年には国の政策として介護保険制度が導入され、小平市でも高齢者の福祉分野の一環として介護保険事業の運営を開始した。従来の措置制度によるホームヘルプサービスやデイサービス、ショートステイサービスなどの介護サービスは、介護保険の対象になり、介護にかんする福祉サービスと医療サービスが総合的・一体的に提供され、公的機関のほかに、多様な民間事業者の参入が促進されることになった。
二〇〇八年の「第三期地域保健福祉計画」(第三次)では、将来目標を「だれもが共に支えあい、健やかに、安心して暮らせる、心豊かな地域社会の実現」とした。ここではとくに「地域福祉」が強調され、地域社会という視点から福祉サービスを見直し、社会福祉を再構築するものとして「地域福祉」に注目している。社会のなかにある「共に支えあう気持ち」を出発点として、地域社会における福祉サービスを充実させることが地域福祉計画の目的であり、ともに支えあう観点からみれば、市民はサービスを利用する側だけでなく、サービスを提供する側にも位置するとして、地域福祉は、地域社会を基盤とした福祉サービスの受給と提供の仕組みの再構築をはかるものだといわれている。
この間、小平市の精神障害者家族会や身体障害者協会などは、二〇〇一年に数値目標を掲げた「市民版・小平障害者プラン」を作成し、地域保健福祉計画・障害者部会で提案して事務局案に対案を示した。その後、政府が推進した障害者自立支援法が二〇〇五年に成立すると、法律に危機感を抱いた身体障害者協会、手をつなぐ親の会、肢体不自由児者父母の会など、市内の障害種別を超えた三八団体が翌年に小平市障害者団体連絡会を結成し、二〇〇七年には「中間提言」をまとめた。中間提言では、基本理念として、自己決定(情報保障)、多様な選択肢、余暇活動の充実、障害の枠を超えることがうたわれ、居宅介護や外出支援、グループホームなどについて数値目標を掲げるなど、小平市とは独自の対案を示している。
一九七〇年代以来、民間の福祉団体と小平市で連携をはかってきた福祉の取り組みの経験をふまえ、二一世紀にその経験をどのように継承発展させるのかが課題になっている。