ゆうやけ子どもクラブについて、二〇〇九年のある日のレポートがある。それによれば、当日は小学校一年生から高校三年生まで二四名、迎える職員とアルバイトの指導員は一六名。指導員は特別支援学校や市内の特別支援学級に子どもを迎えにいく。ゆうやけで決まっているプログラムは、週一回のおやつ作りと一日の最後にみんなで踊るフォークダンスだけ。それ以外の時間は、担当の指導員と一緒に好きなように過ごす。公園に遊びに行ったS君の指導員は、二年前から一緒の時間を過ごすなかで、S君が考えた遊びややりたいことにじっくりつきあってきた。自分の思いどおりにできないときの解決方法をみつけられるようになったことにS君の成長を実感している。
ゆうやけの代表の村岡真治は、ゆうやけでの活動をとおして、子どもたちの「生きる土台」を育んでいると言う。村岡は、ゆうやけの卒業生が通う障害者作業所を訪ねたとき、その卒業生は休み時間の過ごし方が上手ですねと職員に言われたという。仲間を誘ってボールを蹴ったり、職員とおしゃべりをしたりして、うまく気分転換をはかっているようだった。これは教えて身につくことではなく、ゆうやけでの活動をとおして身につけているのだと思うと語っている。
知的障害のある子どもたちの放課後活動をサポートするゆうやけは、放課後に子どもたち同士、子どもたちの指導員を結ぶことで、「生きる土台」をつくっているのだといえよう。社会をつなぎ直すことで、障害のある人たちの「生きる土台」がつくられているのである。
図8-12 ゆうやけ子どもクラブのようす 2009年
NHK 厚生文化事業団所蔵