毎月第一土曜日に開かれるゆうらうんじには、月がわりでタケノコご飯や栗ごはん、雛ずしなどの食事が並ぶ。ゆうらうんじを運営するのは、毎年公募される自治会のボランティアで、彼らが食事づくりから接客まですべてをおこなう。スタッフは無給で会計報告をする。季節感あふれるメニューとクリーンな運営は大好評で、毎回一〇〇食程度の食事は一時間で売り切れてしまう。ゆうらうんじを心待ちにする人も多く、食事と飲み物を交えて、高齢者やひとりぐらしの人、居住者、近隣の人たちの交流が深まる。
ゆうらうんじができて一〇年、小平団地自治会では、『「ゆうらうんじ」の一〇年』(二〇〇七年)の冊子をまとめた。冊子には、二〇〇七年一月から二月におこなった利用者アンケートが掲載されている。回答者は一二六名。男女別では、女性七七%、男性二一%、年齢で一番多いのが七〇歳代で三三%、ついで六〇歳代二五%、五〇歳代一六%、八〇歳代一〇%、二〇~四〇歳代九%と続き、二〇歳未満も六%いた。小平団地に住む人が七九%、団地外の人が一八%であり、一年間の利用回数は、五~九回二九%、一〇回以上二五%であり、両者をあわせると五割以上になるように、常連で利用している人が多かった。参加の人数では、家族や知人などと一緒が三九%であり、知人などと連絡しての一九%とあわせれば五八%になり、六割程度がだれかと連れ立って来ている。それに対して一人での利用も二四%あった。一人の参加は女性に多く、男性の七割は連れ立って来ている。食事のメニューの希望は団地の女性に多い。団地内の女性は、ゆうらうんじが始まった頃から利用している人が多く、ここ四年の間に男性と団地外の人が増えている。ゆうらうんじが団地の内外にひらかれた地域コミュニティの役割を果たしていることがわかる。
図8-13 小平団地自治会のゆうらうんじ 2007年
小平団地自治会『さざんか』324号、小平団地自治会所蔵
小平団地はすべて賃貸住宅である。賃貸住宅は、かつてはマイホームに移るまで住む場所と考えられていた。実際に小平団地でも、多くの人が分譲住宅や一戸建ての家を求めて去り、また新しい人がやってきた。時代が移り、高齢者をはじめとした単身世帯が多くなると、マイホームがもっとも大事なのではなく、家族をこえた支え合いがあるかどうかが大切だということに気づくようになった。小平団地では、自治会を真ん中にして、高齢者やひとりぐらしの人、居住者、近隣者など、多くの人びとが支え合っている。小平団地をみていると、くらし続けるためには、家族をこえた多くの人の支え合いが大事であることがよくわかる。