075 円山漆器木工所(上中町)

酒田商工案内(大正9年)


明治36年(1903)4月設立の合資会社で、円山卯吉が経営していた漆器木工場。早くから輪島、会津、京都等の先進地から職人を招いて徒弟に漆・木工の技を学ばせた。業を修める者数十人に及んで名声が上がり、製品は次第に斬新な意匠を加えてたびたび褒賞を受けた。また明治末期には済世学校を経営して貧困子弟に木工徒弟教育を施し、のちには多量の木工品を北海道青森等に出荷した。ちなみに明治26年の相馬屋事件で衣装道具一式を京都から取り寄せたのは、この円山卯吉である。