今日は八月初日、即ち夏の末月の朔日なれば、平
常も悼しき日なれども、まして今日も此上な
く悼しく思ひたり、先づ朝五時三十分に臥戸を出で
居間を掃除し朝飯を食し、髪を結びて湯
に入り少し休み衣服を着す、妾が姪をつれに
我か学校に行き「オルガン」をひきて、それより
書籍室に入りて我が教室の人々と少し四方八方の話
をなし、校舎を廻はりて家に帰りぬ、それよりひる
飯を食し少し休みて薪木を新田川の岸よ
りひつばりたり、出来たる時は早や八時半にして、それよ
り夕飯を食し暫時休息致し、九時二十分頃より理科を復習せり、
今日の復習は殊に面白しく首尾能く脳に入りしを慥に見留
めたり、復習は十時頃までにして皆と話し話されつして十一時
頃に臥戸に入りぬ
(反復しくり返し復習すればよく分りよく分れば面白いものだ)
校舎平面図(縮尺七百分の一)『酒田高等女学校一覧』明治40年11月発行より