八月八日 晴天 火曜日

現代語訳へ


ながながとつづいて、心もなにとなくしめりかちなる、雨
も今日は珍しくも名残なく晴れ渡って見渡すかぎり青々と
して、心も何にとなく快活に思はれたり、朝五時半にして臥戸
を出でました居間を掃除して飯時をなし、それより髪を結
びてそれより役場へ使ひに行き、帰りに目医師に行きま
した、それより家に帰り女子文壇を読みました、次に昼を
仕度致し而して飯時を致し後を掃除致した、少し休息
して裏の庭より少し桑を摘み、それを蚕に食さすめ
又裏の庭より桑をかひて参りました、それより作文の本
少し読み、それより理科少し復習致しまして
又蚕に桑を食べさせました、米を船場町にまで持
って参り、家に帰りて家事に手伝致し夕飯を食して少休息致し、
蚊屋にはいって本を見た、而して十時に床に臥せぬさよなら

『女子文壇』明治38年10月発行


『初学速成女子作文独学』明治29年2月発行