毎日雨がふって困ると云ひつつ臥戸を出でた時は折りしも五
時半、居間を掃除し飯時をなし髪を結び海老ちゃ式部
となりて小学校の講習会に姉二人と共に参りける、それより早
や小学校に至るや暫くにして初まり、加藤義造先生の教授法
本間良吉先生の教授法をききて講堂に行き、それより批評
をなしぬ、それ終る折りしも一時過ぎ又姉と共に家に帰り飯時をな
し、それより休息し居間を掃除し天正寺町に米を持って行き、
新片町に又米持って行、又鵜渡川原林に又米持って行き、家
に帰り持佛堂の道具を掃除し、それより居間を掃除し夕飯を
なし、少休すみ読本を復習致した、あまりに読みすごして
声も枯れてしまった、それ故に読本ももうやめにして、すや
すやと楽しき夢路にさまよい行きぬ、さよなら
(大層勉強したですネー)
山形新聞 明治43年9月13日付より海老茶袴に関する記事
『女子日本読本』明治30年6月発行