八月十四日 晴天 火曜日

現代語訳へ


数日つづきし、雨のすがしう晴れ渡り西を見ても南を見ても、どちら
の方見ましても一点の雲もなく、心も今までびちゃびちゃとしている至った
の今日はからからと乾いたやうに思はれました、あまり楽しいそうにすず
めさいづって居りますから、いそいで臥戸を出ましたら五時四十分、そ
れより日常の如く働き家屋を清潔にした、髪を結しむで姉共
小学校に参った、又二人先生達の教授をききまして居りましたが昨日
あまりに餅たく山食へましたでしようや腹が痛めまして、お弁当を
携へて参りましたけれども又姉共と家に帰りました、家に帰るとす
ぐ飯時をなし、それより少しやすみまして学校にあげる手紙
をつくりましたが今までの不勉強の結果、よい工夫も出来
ませむけれども仕方が御座ひませむから遂出かしました、それよ
り居間掃除し夕飯を食べましたの、それより休み雑誌を見
て臥戸に入りました時は十時さよなら

吹浦尋常高等小学校准訓導心得・准訓導任命書(明治39、40年)