八月廿六日 雨天 日曜日

現代語訳へ


今朝は五時三分に臥戸を出でました
つねのやうに居間を掃除し御飯をたべました、それから髪を結
ひまして少しやすんで居りましたが斎藤きく江ちゃんの
内から鳥海山詣りの土産に非常の御馳走以って来ましたが、私
と姉共と三人で聞つけまして非常に大に笑ひもした、そ
れから母に手伝致しまして又御飯をたべました、それから
姉共とすこし御話致しまして、それから母と姉と私とにて
土蔵を掃除致しましてから、今日は六夜ですからと云って
あんしらたまを料理致しましてたべましたが、非常に
うまかった、其やうにして居りましと斎藤つねちゃんで
なくって、きく江ちゃんが参りて、それに至極うまひ
処のあんしらたまをたべさせました、それから姉の供
たちばかりて面白く御座ひませんから私もと云って
今度は市原ちゃんの内に御迎へに参りました、やむ
からと云って行かなかひと云って、いくらすすめても
仕方御座ひません、ですから私は太に困って、かへっ
て来ました
それから内にはいりまして、色々と面白き御話を致しまして
其のやう致しましてから、姉二人と斎藤ちゃんと私とにて
たいへじ山に詣りました、それから田桑ちゃんの内に参り
下駄のをきれて下駄かりてきました、それから姉の下駄のを
もきれて今度はき江ちゃんから、かりて参りました、而して家
に帰りまして十二時にきく江ちゃんも宿めて臥戸に入りました