八月廿八日 午前曇天午後晴天 月曜日

現代語訳へ


朝六時におきまして居間を掃除しまして御飯をたべてから
私の衣服を洗濯致して居りましたが、市原うめをちゃんが
御出でになりまして御またせまして一緒に白崎ちよちゃんの内に
参りまして四方山の御話をいたしまして、二階のやねにあがったり
手吹琴をひきましたり、団子をたべたりして大楽しみ致しました、もう
十一時頃にかへりまして今度は私のうちにかへりまして、が、田
桑ちゃんが内に来て居ったのでした、田桑ちゃんも市原ちゃん御心
さっぱりとしてる御方ですから色々と御話が初めりまして
妾等が商業を初める事即ち餅屋になる御話が出まして
空理空想に走ってしまひまして大に楽しみ、かつ甚だをかしかった
それから其人達が御帰りなりましてから御ひるの用意致し
まして其をたべました、而してからすこしやすみまして、衣服
を洗濯致しまして川にすすぎにゆきまして、家にかへると
おなかが痛くなりまして、それからすぐ臥に付き御はん
たべる時一寸御きたばかりで、又臥戸に入りました時に
八時四十分頃でした