朝、今日も起きた時はもう六時十分にな
っていて私はとても驚きました。それから顏を洗い
歯を磨き、すぐ朝飯を食べ、それから居間を掃除
しました。生糸を一鍋取りましたが、私は取るのが下手な
ものだから時間がかかった上に、ものすご
く飽きてしまったけれども仕方がないから「忍堪」の二
文字を頭の中に浮かべて、これを取り終わりました。ちょ
うど十二時だったので昼飯を食べました。それから読本を読
んでいたら、母から言いつけられて屋敷の草をむしって、これを
掃いて、このご褒美に「じゃがいも」をもらった
ので、私はこれを料理して家族全員に食べさせた
ら、みんなからとても美味しいとすごく喜ばれたのよ。そうし
ている内に、私の親友市原うめを様と伊藤きよ江様が
御訪問あそばされて、それから伊藤の別荘に行って色々
と楽しく遊んで、「ばら」の花一本をもらって、家へ
帰りました。それから風呂に「はいって」夕飯を食べた後、姉
君と姪と一緒に不動尊にお詣りして、十時半に枕につきました。