朝眠たい目をこすりながら、ようやく起きて
きた時はもう五時半。時計を見るなり驚いて眠たい
目もぱっちりと開きましたが、目にはたっぷり目やにがついて
ますから、何より早く顔を洗い、それからそれから歯を
磨いて冷水で身体を拭き、それから居間を掃除し
ました。それから髪を結び、姪と一緒に眼科に行き、それ
から他家へ銭の掛取りにまわり、家に帰り又理科を復習し、間
もなく昼飯を食べ、それから薪木を三千本姉とひっぱ
りました。それから家に入って少し休みましたが、あまりの午前の
疲れのためでしょうか、本当に気持よくすやすやと眠りについて、
それから二十分位眠っていたのか、ひと声に驚いて目醒めたら、その
声はまことに慕わしい姉君の声でした。それから顏を洗っ
て少し休みましたが、もうくたびれて動く事も出来なく
なっていたから、ずっと休んでいたら、母がすぐに
菓子を持って来てくれました。私はとりわけ菓子を食べたい食いしん坊
ですから、それをもらってすぐ食べたら、驚いた事に
は身体は快活になって口もさっぱりしたから、青山
の家に桑取りに行って、千代子の君にちょっと寄ってそれから
家に帰り、姉と一緒に小学校の一年生の唱歌みたいな幼稚な唱歌
を歌って、五時半頃から夕飯の仕度をして、七時頃に家族全員
揃って楽しく食事をしてそれから少し休み、みんなでしゃべっ
て又母から御菓子をもらって、それを食べて少し休
み十時十分頃に寝ました。さよなら。
(よく働いたのは感心です。働きし夕、涼しや云々という句が
あります)(働いた晩は心も体も心地よいものです)
(母上の心はどれほど親切なのかどれほど有難いか計り
知れないものですネー)
(あなたには薬よりもお菓子が体によく効くようですネー)
(無邪気もいいものです)