八月二日 雨 火曜日

翻刻へ


朝眠たい目をこすりながら、ようやく起きて
きた時はもう五時半。時計を見るなり驚いて眠たい
目もぱっちりと開きましたが、目にはたっぷり目やにがついて
ますから、何より早く顔を洗い、それからそれから歯を
磨いて冷水で身体を拭き、それから居間を掃除し
ました。それから髪を結び、姪と一緒に眼科に行き、それ
から他家へ銭の掛取りにまわり、家に帰り又理科を復習し、間
もなく昼飯を食べ、それから薪木を三千本姉とひっぱ
りました。それから家に入って少し休みましたが、あまりの午前の
疲れのためでしょうか、本当に気持よくすやすやと眠りについて、
それから二十分位眠っていたのか、ひと声に驚いて目醒めたら、その
声はまことに慕わしい姉君の声でした。それから顏を洗っ
て少し休みましたが、もうくたびれて動く事も出来なく
なっていたから、ずっと休んでいたら、母がすぐに
菓子を持って来てくれました。私はとりわけ菓子を食べたい食いしん坊
ですから、それをもらってすぐ食べたら、驚いた事に
は身体は快活になって口もさっぱりしたから、青山
の家に桑取りに行って、千代子の君にちょっと寄ってそれから
家に帰り、姉と一緒に小学校の一年生の唱歌みたいな幼稚な唱歌
を歌って、五時半頃から夕飯の仕度をして、七時頃に家族全員
揃って楽しく食事をしてそれから少し休み、みんなでしゃべっ
て又母から御菓子をもらって、それを食べて少し休
み十時十分頃に寝ました。さよなら。

 
 
 
 
 
 
 
(よく働いたのは感心です。働きし夕、涼しや云々という句が
あります)(働いた晩は心も体も心地よいものです)
 
 
 
 
(母上の心はどれほど親切なのかどれほど有難いか計り
知れないものですネー)
 
(あなたには薬よりもお菓子が体によく効くようですネー)
 
(無邪気もいいものです)