朝五時に目を覚ましましたが、あまりにも目がぱっちりしない
のでなおも寝ていましたら、しばらくして起されまし
た。すぐに起きて時計を見たらすでに五時半。
まあ驚いて、身体を拭いて居間を掃除して、
朝飯を食べて髪を結び、母と姉が田舎に行くのを
見送るため、背中に姪をおんぶして新片町の端まで
送ってきました。母から団子を買ってもらって、
家に帰りその団子を食べたのですが、姪はこれを私と二人で
食べてもっと食べたそーにしてるから、またも姪のせつ
に団子を買いに行かせて食べさせたのですが、すこしだけ
食べさせてこっそりとっておいたから、これを姉と姪に食べ
させたのよ。それから『婦美草』を少し見て、それから昼
飯を食べました。
しばらく休憩して、それから姉の話を承って青塚
に桑摘みに行きましたら、かたつむりがたくさんで、摘
むのが本当に嫌でしたけれども、いやだと言って
止めると姪も止めるから仕方なく摘みましたが、
ついに桑はかごにたっぷり。喜んで家に帰ろーとしたら
白崎ちよさんの家で千代が見ていて、私を「休んで
いって」と誘うから、私は籠を姪に持たせて家に帰ら
せ、私は白崎ちゃんの家に寄って見ていたら、その時ちょうど
軍人の葬式があって、人が続々と白崎ちゃん家の前を
通り、本当に一時は雑踏の街路となりました。それからしばらくして
家に帰り、また姉の言いつけで新片町へ使いに行きましたら、道
で又千代子の君と出会って、また一緒に新片町まで
行って、千代ちやんは小豆を買って帰りました。それ
から夜の仕度をして、居間を掃除してこの日を過ご
しました。先ず今日はこれで。
さよなら。