八月十三日 雨 日曜日

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待ちに待った八月十三日も、もう今日となりました。とても楽しく
このお盆を迎えている。しかし思い巡らせばうれしい事とはい
っても又悲しい所もある。一年中の半分余りも過ぎたのに、私は今日ま
で何も後に残すべき事はしていない。ああ年月よ、後悔先に立
たずと言うのは本当にその通りだ、と思って悲しくて涙がぽろぽろ
とこぼれるのはますます愚かな事ではないだろうか、と思って深
い思いに沈んでいると、玄関を押し叩く米を買う人の声に驚かされ
て、すぐ起きたらちょうど四時二十分。からすは向こうの林から
かあかあと鳴きながら帰り、雀はちゅんちゅんと楽しそうに私が早く起きるよう
勤めているように思いました。それから今日は忍耐勤勉の二事を忘れまい、と思
いつつ裏に行ってあたりを眺めて家に入り、すぐ居間を掃除し
髪を結び食事をして休んで、又姉たちと小学校に行きました。又今日も加
藤先生の教授、田舎の先生の教授等を聴き、又昨日のように色々と批評
の詞を始め、それが終ると国語修身等の教授をきいて、家に帰った
のはちょうど二時過ぎ。食事をして、裏の畑から「とうもろこし」を持って来
て、焼いてこれを食べました。それから少し休憩して桑をきざ
んで母の手伝いをして、それから沐浴してしばらく休み、餅をつく
用意を手伝い、その他家事を手伝った。今日は十三日だからとても
忙しく、本当に心の置き所がなかった。さあ夕飯を食べました、
さあ少し休憩しました、そこに、とても親しい友達が訪ねて来たので、友と
一緒に田んぼを散歩しました。しばらくして家に帰り十時に寝ました。さよなら。