翻刻へ

寝床から六時に出て、いつものように働き、身体を洗拭しま
した。それから少し休んで、斎藤き江ちゃんと佐藤な
つよちゃんの家に行き大変御馳走になり、もうお昼間近
になってから家に帰りました。その帰りにき江ちゃんと私と一つずつ
ウリをかって来ました。それからそれを食べて、昼飯を食べしばらく
休憩し、他家にお手伝いに行って、帰りに市原うめをちゃ
んの家に寄ってみました。市原ちゃんの顔は青く見えたのですが、
今更そんな事を聞くのもおかしいかなと思ったので、黙って
いました。お母さまと市原ちゃんは「休んでいって」と言ってすごくすす
めるから、家に上がってさまざまなお話をしていたら、市原
ちゃんが買った本を見せてくれました。私がそれを見ていたら、と
ても面白いお話の書いてあるところを教えてくれて、そこを見
てみたら大そう憐れなお話でしたが、見きれない
ものだから私は本当に名残惜しく見ていました。それから別の
本も見ました。市原ちゃんが言うにはお腹の調子が悪くて、昨日と先昨
日と痛くて非常に苦しかったということで、私は非常に気の毒に
思いましたの。お大事になさって下さいと言い、それから色々困った話や懐かしい話
をしていたところへ、もうもうもう、うまそーな、うまそーなうまそーな
あん白玉の熱いのを出してくれました。それを私は「お上手ね」と言わ
ずに「御結構です」と言って食べました。その味は世界最高、お砂糖たっぷ
り、本当に美味しく食べましたが、あまりに食べてお腹がいっぱい。又少しお
話して家に帰ってきました。それから米をつき、それを浅井
ちゃん家まで持って行き、それから居間を掃除して、夕飯
を食べて少し休んでいたら、私の姪が家にきました。その子は
まだ中学生なものですから、学生らしく無邪気で困る
のよ。少しだけお話して、私はずっと英語を聞いていました。そうして
十時頃に帰っていきました。その後も少し英語をやろうと思って
見ていたら、親類の人がお出でになって又色々と話をし
て、それから「ヴァイオリン」を弾いて、お客様にも弾かせて
みたら初めてのことですから、私よりも弾けないのでした。
それから少し休んで、寝た頃は十二時で
した。先ず一寸さよなら。