仝丗一日 金 雨天

現代語訳へ


朝五時二十分にふす戸を出で、掃除をなす
掛ヶ取りに参り寺町の所にて富士村ふじの様
と出会ひ少し話をなす、別れて家に帰り鵜
戸川原村に又掛ヶ取りに参り、一日掛ヶ取り
に参りたるが、やはり不景幾と見えて実
に下さらない家ばりにて、骨折り損の労れ
もをけ、であった、掃除をなす、いよいよ
昨日からは第二学期の初めとて学び屋
に参る日となった、嗚呼月日は矢の如しとかや
実に然りと、ささやきつつ何時とはなすに
夢路に入りぬ、夢の内まで心配
の心、ああ悲しや矢の如き月日よ
 
体中は毎日毎日の事、未だいくらも
おもしろき事、悲しき事、嬉しき事
幾らもありますが、なかなか時間のゆる
さい事で御座ひますれば、心の内にのみ
ひそめて此処には記さないで大凡の
事のみ記すぬ、ただ毎日変らないのは朝
夕の掃除、家事に手伝ひし事、目医師
に行、結髪、入浴のみなり
 
佐藤とし江