同三十一日 火曜日 曇り

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今朝は五時三十分に起きました。又々いつもと
同じように居間を掃除し、朝飯を食べました。
それから少しヴァイオリンを弾き、去年の
日記を見ていましたが、先生の批評が面白く自分でも
おかしくなりました。それから手紙をかいて、姉
上たちのいる遠い外国まで暑中見舞を出し
ました。又、昔の先生にも出しました。しかし字が下手
で我ながら恥ずかしくなりました。今後は
よく字を習わなくちゃいけない、と思いました。
 菊の花散るともわれは怠らず
 たどりて行かん文の林を
お昼の用意をしてから少し本を読み
ました。夏休みになって以来、今日はじめて本
を見ました。
しばらくして裏口で、ただいま帰りましたと呼
ぶ声がしたので、いそいで走っていったら私の姉で
した。それから色々な土産をもらって大変喜び、
少しいろいろな話をして、夕飯を食べ十時
半に寝ました。
今日は七月の最後の日なので特にもったいないと思う
日でした。けれども私は何の勉強もせず
日々遊んでいるうちに、時間が迫ってくるのを
私も大いに感じ、昔の人が言ったことはその
とおりだと、いよいよ奮発する気が起きました。