沖積平野

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石部町の北部に広がる沖積平野は、最も新しい時代に形成された地層からなる。
 この沖積平野は、最後の氷期(ウルム氷期)が終わり、地球全体が暖かくなりだした一万年位前から現在にかけて、野洲川の氾濫によってもたらされた堆積物で形成されてきた平野である。
 このため、平野内には野洲川とほぼ平行に幾筋もの旧河道がたどれ、洪水時に水がよどむ地域は、沼田や湿田の状態であり、洪水常襲地帯となってきた。
 このように野洲川の氾濫原平野は、石部にとって豊かな穀倉であるとともに洪水による被害も大きく、農民は収穫を維持するため、洪水と葛藤をくり返してきたのである。
 近年では昭和九年(一九三四)の室戸台風時、昭和二十八年(一九五三)の一三号台風時、昭和三十四年(一九五九)の伊勢湾台風時に大きな被害を受けている。
しかし、上流に野洲川ダムや青土(おうづち)ダムが構築され、さらに水口と石部西北端の狭隘部には頭首工(とうしゅこう)が設置されるなど、野洲川上流域からの整備が進んできており、氾濫原内の小河川の改修も進みつつある。
 また農地自体も、圃場整備や区画整理事業のもとに改良されてきており、現在では洪水による被害もかなり軽減されてきている。