温和な石部付近の気候

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では、石部付近はどのような気候環境下にあるのだろうか。図7の石部に近い大津のデータや、図8の石部のクライモグラフが示すように、この付近は、南部の太平洋側の気候に属するが、さらに気温が高く降水量が少ないことから、南西方の気候に近い型、つまり瀬戸内型気候地域にあたり、しかもその東を限る地域となっているのである。

図8 石部町のクライモグラフ

 このため、石部付近は年間を通してきわめて温和な気候環境下に位置しているといえよう。ただし町域の南部には阿星山地があり、山地から山麓にかけては北方の平野部よりは気温も低下し降雨も多いという地域差が生じる。通常の気象年の場合は、この位の地形による気象の差はむしろ変化に富む豊かな自然を有し、四季の移行をたどるのに適した環境といえよう。しかし異常気象時、特に台風や豪雨に見舞われると、山地側では山腹崩壊や土石流を生じてきたことがしばしば記録されている。特に山体が風化の著しい花崗岩から形成されているため植生(樹林)を皆伐すると表土の侵食が激しくなり山地災害を招きやすくなる。他方平野部では、天井川の決壊や河川の氾濫による洪水を受けた記録も多い。
 やはり自然を侮(あなど)ることなくそれぞれの地域の自然の性質を理解し、よい環境を保ち、次代の人びとへと受継いでいくことが大切である。