本陣というのは、一般の旅人のための旅籠屋に対するものとして、勅使・院使(天皇・院の御所からの使者)・宮・門跡・公家・大名や旗本が休泊する施設のことである。また脇本陣は、その補助的施設で、本陣がふさがったりした場合に利用された。
旅籠屋は一般旅人が休泊する施設で、その種類もさまざまであった。『東海道宿村大概帳』にみえるように、大・中・小の旅籠屋があり、その中には食事を供し飯盛女をおく旅籠屋や、自炊をする木賃旅籠などがあった。これらの旅籠屋は、おおよそ五街道が整備されて人々の通行が増加する元禄期(一六八八~一七〇三)ごろから増加の傾向をみせる。
写101 木賃宿 飯米調理に要する薪代だけを支払って宿泊できた簡易な宿泊所(石部町歴史民俗資料館所蔵)。