御定賃銭(正徳元年五月) | 石部より草津まで | 石部より水口まで | ||
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人足1人 | 69文 | 70文 |
木賃銭(正徳元年五月) | ||
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35文 |
文政(ぶんせい)八年(一八二五)二月、当時元賃銭(もとちんせん)の五割増が石部宿で認められていた場合を例にとると、割増分銭六八文のうち、六〇パーセントの四一文は宿が受け取る分、四〇パーセントの銭二七文が出人馬の増分として渡され、人足は実質元賃銭の二〇パーセント弱の収入増を得たにとどまった(「五街道取締書物類寄 下」『近世交通史料集(二)』)。宿が受け取った上前は刎銭(はねせん)と称したが、刎銭の一部は領主預りとされ、助郷村々への利貸しの元金とした(刎銭溜銀)。安永(あんえい)三年(一七七四)十二月石部宿にむこう七年間元賃銭の三割増が認められた際、増銭の三分の一を領主預りとして蓄積し、その合計金六五四両一分と永一五〇文を元金として、年一五パーセントの利付で膳所藩領の村々に貸付け、元利ともに金八一八両を得た。そのうち二〇パーセントにあたる金一六三両余を石部宿本陣二軒に助成として給付し、差引金六五五両余を年一五パーセントで利貸して得た利金九八両余を、毎年宿方への助成金として渡した(『石部町史』所引史料)。割増賃銭の配分はこの割合で常に行われたわけではないが、右の例からも割増賃銭の設定が宿財政の助成基金を生み出そうとするところに多分の力点が置かれていたことを思わせる。
宿が無賃の継立、あるいは低額の御定賃銭による継立をする代りに、当然ながら各種の特権・助成が幕府、藩から与えられていた。
そのひとつに地子の免除があった。迪子免除は慶長七年(一六〇二)七石九斗二升が認められ、寛永(かんえい)十二年(一六三五)からさらに二三石四斗六升六合が加えられ、合計三一石三斗八升六合となったが、石部宿の宿高一、五一三石五斗二升四合のわずか二パーセントにすぎない免除高であった。
幕府、藩の助成については臨時のものが多く、史料から明らかにすることは困難であるが、『石部町史』では万治(まんじ)三年(一六六〇)永拝借金五〇〇両をはじめとする助成をあげている。享保十年(一七二五)草津・水口両宿とともに石部宿も金一〇〇両が給付されたとするのは早い例である(『駅逓志稿(えきていしこう)』)。また文政三~九年(一八二〇~二六)の七年間「金銀吹直しに付、引替金銀往返有之、京、大坂道中筋宿々諸雑費懸り難儀たるべきに付」という理由で、東海道の宿、助郷に手当が給されている。石部宿では文政三年金一二両、助郷村々へ高一〇〇石に付金一両、同四年宿に金九八両、五年に同金六九両、六年に同金四六両、七年に同金二九両、八年に同金八二両、九年に同金二九両が給付され、七年間に東海道の宿、川渡船場そのほかに支給された総額は金一万八、一八七両に上った(「五街道取締書物類寄」下)。しかしこの額も臨時の宿の継立人馬の負担増の一部を補うものにすぎなかった。
幕末における人馬継立が宿、助郷にどのような大きな負担を強いたか、安政二~六年(一八五五~五九)の石部宿の具体的な例(表34)によってみよう。五年間の年平均実働人馬継立数は、人足六万一、七二三人、馬二万三、三六三疋に上り、これを一日平均にすると人足一五五~二一三人、馬六一~六七疋、これを宿と助郷に分けると、宿の負担している人足一日平均六二~六五人、助郷の負担は九二~一四八人、馬については宿五二~五七疋、助郷五~一四疋となる。しかも人馬ともに毎年五パーセント前後の泊違い、川支えによる余り人馬が出ている。いわば徒労に終わる人馬がかなりあることが注目される。
人足 | 馬 | |||||||
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年(西暦) | 宿 | 助郷 | 余り人足 | 合計 | 宿 | 助郷 | 余り馬 | 合計 |
6(1859) | 23021 | 37761 | 3328 | 64110 | 19692 | 1719 | 780 | 22191 |
宿、助郷の負担がやがて破局的段階を迎えるにいたることは、慶応(けいおう)元年(一八六五)から同二年七月までの人馬継立の状況(表35)から、はっきり読みとることができる。人足についてみると、安政期には宿の負担が二〇パーセント増であるのに対して、助郷は実に二~三倍の増加を示した。馬については宿で一二パーセント増、助郷で四四パーセント増となっている。特に助郷の人足負担が一日平均三五二人と考え難い大きな負担となっている。
人足 | 人馬 | |||||
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宿 | 助郷 | 計 | 宿 | 助郷 | 計 | |
不用済 | 336 | 23,867 | 24,203 | 1,747 | 2,865 | 4,612 |
不用済 | 173 | 12,416 | 12,589 | 995 | 1,441 | 2,436 |