石部郵便局の明治二十年(一八八七)までの郵便物数取扱状況(表61)、さらに明治九年滋賀県下郵便物数とその種別(表62)、滋賀県下の明治六年~九年の郵便物取扱数(表63)、及び滋賀県下明治七年現在郵便局設置状況(表64)は当地域においても郵便事業が着実に発展していることを物語っている。
引受 | 配達 | |||||
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年度(西暦) | 普通 | 特殊 | 計 | 普通 | 特殊 | 計 |
20(1887) | 31,607 | 194 | 31,801 | 40,902 | 40,902 |
種別 | 差立 | 配達 |
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計 | 744,784 | 726,644 |
内若狭国及び越前敦賀郡の分 | 108,241 | 118,247 |
滋賀県のみの分 | 636,543 | 608,397 |
年度 | 差立 | 配達 |
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9年 | 636,543 | 608,397 |
設置年 | 局名 | |
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(局名は当初のもの) | (括弧内は廃局年) | |
明治4年 | 大津、草津、石部、水口、土山 | |
明治5年 | 八日市、西大路、彦根、長浜、守山、八幡、米原、今津、柏原、武佐、岡本、鳥居本、愛知川、木ノ本、塩津、大溝、海津、高宮、堅田 | 三上(6年)、日野(6年)、五ケ庄(6年)、飯ノ浦(7年)、醒ケ井(17年)、番場(17年)、河原市(19年)、中河内(19年) |
明治6年 | 春照、山上、長野 | 宮川(7年) |
明治7年 | 市場、河内、木戸、坂本、関津、橋本、能登川、南市、柳瀬、粟津、多賀、途中、野村、保坂 | 鮎川、朝妻、大窪、鎌掛、小松、辻村、東坂、松原、宮司(以上10年) 赤ノ井、穴村、今宿、大浦、太田、大野、小川、鏡、桂、木部、郡上、手原、中ノ郷、南庄、速水、平野、深川市場、坊村、三雲、山崎南町、上大森(以上17年) 鍛治屋、川守、田堵野、花沢、政所(以上19年) 北蚊野(21年) |
ただ、設置後間もなく廃局があいついでいるのには驚かされるが、その理由のひとつは「取扱役ニ給与ノ金ハ僅ニソノ名ヲ附スノミ、全ク労費ノ実ニ対シテ報フヘキノ額ニアラズ」(『第七次駅逓年報』)と駅逓寮も自ら認めるように、その経済的負担に堪えかね、特にインフレ、デフレなどの経済変動の激しい際に多くの取扱役が辞職したことによる。
さらに駅逓局では、明治八年一月より郵便為替、同年五月からは郵便貯金も創業するが石部郵便局の取扱開始は貯金が明治十八年六月、為替が同二十三年(一八九〇)十月からである。