鉱物類の出品のほかに石部村山本治兵衛が「第二区製品 第一六類教育器具)として擬石盤(ぎせきばん)を出品している。明治九・十両年の『滋賀県統計書』には文具類として陶製石盤の生産が行われていた記載があることから、学童の文字の筆記練習用に用いられた小型の黒板のようなもので、石部村の石灰石を原料に製造されたものと思われる。この擬石盤は第一回内国勧業博覧会において、廉価でかつ学校用に適しているという理由で花紋賞牌を受賞し、受賞品であることをうたって同十二年一月には商品化し、販売を開始したようである(写167)。
写167 擬石盤広告 三大寺専治が販売にあたり、最大1,000枚売まであり、その数に応じて販売価格も変っていたことがわかる(石部町教育委員会所蔵)。