町内の金融機関

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昭和二年六月当時、町内には銀行が二店舗あった。それらは、甲賀銀行石部支店と淡海(たんかい)銀行石部支店である。水口に本店をもつ甲賀銀行は明治三十年(一八九七)に資本金五万六、〇〇〇円で設立され、石部にも支店が置かれた。淡海銀行は同三十二年(一八九九)に資本金八万円で設立され(設立当初は淡海下田(しもだ)銀行と称した)、下田に本店が置かれた。石部支店は支店第一号として、翌年一月に設立され、銀行業務に着手した。
 その後、昭和四年に淡海銀行は百三十三銀行に買収合併され、百三十三銀行石部支店と改称された。一方、甲賀銀行石部支店は甲賀銀行自体が同七年三月に解散、廃行した。
 さらに、同八年十月に百三十三銀行と八幡銀行が合併し、新たに滋賀銀行として設立された。百三十三銀行石部支店は八幡銀行草津支店と合併され、滋賀銀行草津支店の石部出張所となった。同年七月当時、石部出張所の預金高は二〇万三、一六三円、貸出金高二万一、八四三円であった。その後、同十六年十二月末の石部出張所の預金残高は九一万、五二一円に達したのである。
 その後、現在にいたるまで、滋賀銀行は県下の中核的な金融機関であるが、同二十四年九月、政府の銀行店舗整備に関する通牒に基づき、店舗の拡充が行われた。その一環として、翌二十五年十月に石部出張所は石部支店に昇格した。その後貯蓄運動を積極的に展開し、石部支店は優秀店・良好店となり、現在に至っている。

 


写183 貯蓄奨励法広告 淡海下田銀行石部支店が設立まもない明治34年(1901)に配布したもの(山本重夫氏所蔵)。