農地改革の経緯

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石部町の基幹産業が農業であった関係上、戦後の諸改革の中で、石部町に大きな影響を与えた改革のひとつは農地改革であった。農地改革は二段階に分けて進められた。まず、第一次農地改革は同年十二月のGHQの指令にしたがい、農地調整法の改正により、翌二十一年二月以降に施行された。この改革の主な点は、(1)不在地主の所有地全部と在村地主の所有する五町歩以上の小作地を小作農の申し出に基づき、市町村農業会の仲介により地主から強制的に買上げ小作農に譲渡して自作農を創設すること、(2)小作料を金納にすること、(3)農地改革を実行するために市町村農地委員会を設けたが、その委員選定を従来の市町村長の任命制から、地主・自作・小作の各五人ずつの階層別選挙制に改め、農地委員会の刷新をはかったこと、などである。第一次農地改革では、全国の農地一〇〇万町歩が解放されたが、十分なものではなかった。
 そこで、同年六月、GHQから農地解放の徹底を勧告され、農地調整法の改正法と自作農創設特別措置法の制定により、第二次農地改革が開始された。この改革の中心点は、(1)不在地主の所有する小作地全部と在村地主の所有する一町歩(北海道をのぞく)を越える小作地を国家が強制的に買収し、小作農に売り渡し自作農を創設すること、(2)買収の対象は採草地や宅地・未墾地などにも及んだこと、(3)市町村農地委員会の委員構成が地主三人・自作二人・小作五人となり、農地の売買譲渡にあたったこと、(4)残留小作地の小作料は文書により公定の低額金納となったこと、などである。解放面積が全国で約二〇〇万町歩に達し、第二次改革で徹底した農地解放が行われた。