農業の機械化

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戦後の農業が効率的に進められた要因のひとつとして、農業の動力化・機械化があげられる。昭和二十五年ごろは、農耕の主力は人力と畜力であった。農耕に際して、総農家三七八戸のうち、牛を使用した農家は三七〇戸で、動力耕耘機を使用した農家は二戸にすぎず、ほとんどが畜力を利用していたのである。
 同三十五年においても農作業の主力は畜力であったが、徐々に動力も取り入れられるようになった。、同年には畜力のみ使用農家はゼロとなり、畜力と動力の併用農家が主流となった。また、別の統計によると、動力耕耘機を使用した農家は個人所有の八戸、他の農家の耕転機を借用した農家二五戸の計三三戸で、それによる作業面積は水田一一・九ヘクタール(全水田面積の約五・五パーセント)、畑〇・六ヘクタール(全畑地面積の約五パーセント)にすぎなかった。本格的な機械化が始まったのは、表80で農用機械の所有台数を示したように同四十年以降である。同三十五年には発動機あるいは電動機・動力脱穀機・動力籾摺機はかなり普及していた。同四十年には耕耘機が一六五台となり、さらに、同四十五年には三〇七台と飛躍的に増大したのである。こうして、耕起作業を中心とした農作業は牛などの畜力から耕耘機やバインダーなどの動力機械へと転換された。同五十年になると、従来は人力による手作業であった田植作業や稲刈作業が動力田植機や自脱型コンバイン(もしくは、バインダー)によって機械化された。同五十五年には機械化がほぼ完了し、作業効率は著しく向上したが、同六十年現在では、飽和状態となり減少の兆候がみられる。
表80 農用機械の所有状況
昭和年3540昭和年45505560
機種機種
耕耘機駆動型757耕うん機歩行型10以下293244140110
牽引型110815馬力未満6249
発動機254*15~30馬力10以上1456480
電動機28*30馬力以上000
動力噴霧機30総数307249266239
動力撒粉機12動力防除機***68
動力脱穀機243*動力田植機067225203
動力籾摺機134*バインダー17914621
動力カッター21*自脱型コンバイン764211179
動力揚水機5*米麦用乾燥機**284215
農用トラック215農用トラック2534**
*は不明(指標なし)を示す。農業センサスより作成