昭和三十三年一月に日本道路公団は西寺の六反(ろくたん)地区に名神高速道路試験所石部分室として植栽(しょくさい)場を置いた。これは名神高速道路の開設にともなって車線の中央分離帯やサービスエリア・インターチェンジに植える灌木を栽培するための施設である。同三十三年度より五年間に総経費六、五二〇万円をかけて一六・九ヘクタールを開墾した。同年四月から苗木を植え付け、同三十七年四月には樹木の出荷を始めた。その後、何度か植栽場は改称されたが、現在も高速道路の景観保全、沿道住民の生活環境保全に役立つ樹木を生産し、それに必要な調査・試験・研究を行っている。現在、全敷地一八・〇七ヘクタールのうち、一二・五七ヘクタールが苗圃用地となっている。苗圃用地は四つの地区に区分され、ウリハダカエデなどの高木、カイズカイブキなどの中木、サツキなどの低木、キヅタなどの蔓物、それにポット育成の苗木が育成されている。中央分離帯の樹木としてよく利用されるカイズカイブキの場合、苗木の移植、施肥、病虫害の防除、支柱手直し、整枝剪定など数多くの作業を経て、およそ五年間で成木となり出荷される。出荷先は全国各地に及び、高速道路のほか、一般有料道路にも利用されている。
写194 日本道路公団試験所植栽場
昭和33年(1958)開設、高速道路などの緑化用樹木の育成・出荷・調査・研究を行っている。また、場内には六反古墳が保存されている。