昭和四十六年度に石部町は町の振興発展を目的として、将来目標と必要な施策の大綱を定めた基本構想を策定した。これを踏まえて、町行政は展開されてきたが、その後の大きな地域変動にともなって、より一層柔軟な対応が求められた。そのため、この計画を基本的に見直し、本格的な町づくり計画の策定を行なった。
それが、石部町総合発展計画であり、この計画について同五十六年四月以降多くの協議が重ねられ、翌年三月石部町総合開発審議会において基本構想案の答申を得て、同年四月町議会で議決された。計画の実施にあたっては、同七十五年を目標に基本構想をたて、基本計画が同六十五年を目標にして設定されている。さらに、その実施計画は同五十九年を第一次目標年次として、三年ごとにローリング方式で進められている。
具体的な基本構想の内容については、「みどりとうるおいのある文化住宅都市」という主題をもとに、石部町の将来像として「文化の香り高い住みよい町、産業の発展と生活環境施設が調和するまち」をめざしている。実際の町づくりは一二項目の基本的事業により進められる。その基本的事業とは、①適正な土地利用計画の確立 ②交通・通信体系の整備 ③環境保全・防災体制の確立 ④自然環境の保全と地域開発の調和 ⑤保健衛生医療の充実 ⑥社会福祉の充実 ⑦コミュニティーの育成 ⑧歴史的・文化的環境の保全と文化の創造 ⑨教育の充実⑩スポーツ・レクリエーションの振興 ⑪雇用の安定と産業基盤の確立 ⑫商工業および農林業の振興である。
以上のような経緯で策定された計画は甲賀地域新広域市町村圏計画との調和も考慮し、総合的・長期的な展望に立ったものである。石部町では地域経済の安定的な成長や町民生活の質的向上を目指して、今日まで、この計画をもとに各種の事業が展開されてきたのである。