商業統計によって商業活動の現況をみると石部町の店舗数は昭和六十年現在一三六店、そのうち、小売店が一〇〇店以上を占めている。小売店の中で飲食料品店が約半数の四七店である。飲食料品店の主な内訳は、各種食料品小売業六店、酒・調味料小売業九店、菓子・パン小売業一五店である。年間商品販売額は小売店の販売額が中心部分を占めており、飲食料品販売額が二三億円に及んでいる。
日常生活品の安定した供給と町民の買物の利便をはかるとともに、地元の商業振興のために、公設小売センターが同五十三年に建設された。このセンターは県道バイパス沿いに設置され、イスコの愛称が付けられ、町内最初の総合ショッピングセンターとなったのである。
イスコが建設され、商業上の問題点はある程度緩和されていたが、周辺市町へ大型店舗が進出したため、買物客の町外流出と町内商店の停滞化が進んだ。こうした状況下で、彦根市に本社を置く平和堂が石部町へ五五店舗目の出店の意向を示した。これに対して、町内の一部商業者が大型店との共存共栄をはかるために、同六十年石部商業近代化協同組合を設立した。平和堂と同組合は総工費約一二億円をかけて店舗の建設を進め、同六十三年七月ショッピングセンターが開店した。鉄筋二階建(一部三階建)で、延面積は約八、七〇〇平方メートルに達した。この売場面積は従来の町内の商店の総売場面積に匹敵し、これは石部町における本格的な総合ショッピングセンターである。この開設によって、買物の利便性は著しく改善されたが、旧来の街道沿いの商店街への打撃が危惧されている。