福祉施設と社会福祉事業

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自然環境に恵まれた石部町には五つの精神薄弱者施設が開設された。まず、昭和四十四年六月に社会福祉法人大木会のもみじ寮(精神薄弱者授産施設、収容定員五〇人)とあざみ寮(精神薄弱者更生施設、収容定員三二人)が開寮された。ついで、同四十五年五月に社会福祉法人大木会一麦(いちばく)寮(精神薄弱者更生施設、定員五〇人)と社会福祉法人椎の木会落穂(おちほ)寮(精神薄弱児施設、定員八〇人)が建設された。さらに、翌四十六年十月に県立近江学園(精神薄弱児授産施設、定員一三〇人)が移転してきた。寮生は自然の豊かな、広い園内で共同生活をしながら、生活指導・学習指導・生産教育を受ける一方、地域との交流も行われている。このように、石部町内の大字石部・大字東寺地区の丘陵地は「福祉の丘」となっているわけである。

 


写206 もみじ寮(上)と落穂寮(下)
昭和44・45年にかけて社会法人大木会、及び椎の木会によって、もみじ・あざみ・一麦寮、落穂寮が開寮された。東寺地区には県立近江学園もあり、自然環境に恵まれた精神薄弱者施設として評価も高く、地域交流もさかんに行われている。

 石部町では、国あるいは県下に先がけて医療費無料化(三割給付)を実施してきた。七〇歳以上の老人医療費は同四十五年一月より、0歳児の医療費は同四十六年七月より、母子家庭の医療費は同四十七年一月より、身障者(一級および二級該当者)の医療費は同四十八年四月から無料となった。これらは地方自治体として先駆的なものであり、国・県の実施にともない、石部町では国や県以上に適用範囲を拡大している。
 同四十七年六月に老人福祉事業の一環として、松籟老人憩いの家が老人の教養向上、娯楽の場として吉御子神社境内に設けられた。
 また、石部町社会福祉協議会は同二十九年四月に任意団体として発足し、多くのボランティアに支えられて活動を展開してきたが、高齢化社会の到来により複雑で多様な福祉事業が要請され、円滑な活動と健全な運営が必要になった。そこで、社会福祉事業法に基づく社会福祉法人化が同六十三年四月に行われ、地域福祉活動や在宅福祉活動の推進や、ボランティアの発掘と育成にあたっている。