日本における後期旧石器時代の幕を開けた時期に特徴的な石器として、台形やペンの先のように加工された小型の石器と局部磨製石斧がある。前者は、突き刺す、切るための石器と考えられている。後者(こうしゃ)は、当初は木材の伐採(ばっさい)・加工などに使用され、摩耗すると研ぎ直すのだが、研ぎ直しにより石器自体がだんだん小型になるため、そうなったものは、皮なめしなどの作業用に転化したのではないかと推定されている。この局部磨製石斧は、後期旧石器時代の後半には突然姿を消す道具で、これは木材の伐採がなくなったことを表し、謎とされる。ただし、東北では、後期旧石器時代の終わり頃にも使われていたようだ。
次の時代を画するナイフ形石器は、剥片の鋭い縁辺を一部残し、基部(きぶ)あるいは側縁に急角度の加工をした石器で、文字どおり、切ったりあるいは刺したりする道具と思われる。
尖頭器は、木の葉のような形に加工された石器で、突き刺したり切ったりする道具と考えられている。