5 旧石器時代の生活

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 旧石器時代には、まだ土器が発明されていないので、煮て食べることはできなかった。しかしながら、たとえば喜多方市(旧・高郷村)塩坪(しおつぼ)遺跡では、焼けた自然石が集まった礫群(れきぐん)が発見されている。石は細かくはじけたり、くすんだ色をしていて、熱を受けたものである。これは、後期旧石器時代の遺跡ではしばしば見られる遺構で、石を熱して水を沸騰(ふっとう)させて料理する、蒸(む)し焼きをした痕跡(こんせき)と考えられている。また、近年の発見では、動物を捕獲(ほかく)するときに利用する落とし穴などもある。仙台市富沢(とみざわ)遺跡では、約2万年前の樹木(じゅもく)が発見され、焚(た)き火の跡や石器もまとまって出土した。現在は草原に針葉樹(しんようじゅ)がまばらに生えていた当時の姿が復元されている。