今から約1万3,000年前になると、日本列島は温暖化が進み海面が上昇した。旧石器時代の最も寒冷期(約2万年前)の海水面は、現在より約120mも低かったと考えられている。ところが、縄文時代前期(約6,000年前)になると、関東地方の海水面は現在より2mも高くなり、平野に深く海が入り込んだ。
また、旧石器時代には針葉樹(しんようじゅ)が目立っていたが、縄文時代になると、日本列島の特に関東地方や東北地方では、ナラやブナなどの落葉広葉樹林(らくようこうようじゅりん)が広がり、ナウマンゾウやオオツノシカなどの大型獣が相次いで絶滅し、代わってニホンシカやイノシシなどが大型の部類になった。このような植生の変化によって木の実などが人びとの主なカロリー源となり、動物相(その場所に生きる動物の種類)の変化は、捕らえるための技術の開発へと進んだ。
このように人びとを取り巻く環境の変化は、季節ごとの食料が得られる一定の範囲で活動する、定住生活につながった。