野山の木の実やシカ・イノシシなどのほ乳動物、臨海(りんかい)の魚介類は、縄文人の三大食料資源とも言われる。これらの食料は、温暖化によって起こった生態系(せいたいけい)の変化がもたらしたもので、生活そのものの大きな変化の要因である。
また、土器と弓矢の出現は、縄文時代を特徴づける要素であり、植物相や動物相(その場所に生きる植物や動物の種類)の変化に応じた環境への対応の結果で、道具の革新でもあった。それらは、食生活の大きな変化にも結びついた。
縄文人が摂(と)るカロリーの半分は、植物が占めていたと言われている。海に面した福井県鳥浜貝塚(とりはまかいつか)では、縄文人が食べ残したものを分析した結果、摂取(せっしゅ)カロリーの比率は、クルミ、ヒシ、クリ、ドングリなどの木の実が42%、残りが魚を主とした肉類で、貝などは8.5%にすぎなかったという。海岸付近でさえ木の実は重要な食料だったのである。