5 装身具にみえる地位

10 ~ 10

 弥生時代の装身具として、縄文時代の勾玉(まがたま)に加え、朝鮮半島から新たな技術と素材の管玉(くだたま)が伝わった。柏山遺跡では、墓穴から緑色の管玉が出土している。装身具の色は装飾性の一要素で、緑色は特に珍重(ちんちょう)された。絶対数の少ない勾玉は地位の高さを示すが、管玉の場合は、その数が社会的地位の上下を表していたと考えられている。柏山遺跡の管玉は、この地で稲作による身分の上下関係が始まっていたことを示す、象徴的な遺物と言える。

(柳沼賢治)

管玉をつらねた首飾り(柏山遺跡)