3 菅笠(すげかさ)の生産

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 古い歴史を持つといわれる菅笠作りであるが、元禄の頃より、商品取引の対象となっていた。

 菅笠を生産したのは、守山領でも下郷といわれる村々で、白岩、根木屋、舞木、山田、芹沢、三城目、南小泉、北小泉、下白岩、阿久津などであった。米作に向かない湿地や谷田に菅や藺草(いぐさ)を栽培し、それで笠や筵(むしろ)を作っていたが、特に菅笠はこの地方の特産物であった。

 行商による販売もあったが、仙台や三春、郡山、須賀川等の商人による買いたたきや、守山藩の笠前金など、高利で藩財政を潤そうとした制度により、生産者の農民にはなかなか利益が還元されなかった。そこで、生産者は菅笠会所(卸問屋)を設立した。しかし、買い出し人が500前後、販路は北は山形、仙台方面から南は水戸、宇都宮方面まで、また、80両余の売り上げがありながら、菅笠会所は不振に陥ったという。


菅笠(郡山市開成館所蔵)