市制施行を記念して、現在も麓山に残る公会堂が建設された。公会堂は、市制施行から2ヵ月ほど遅れて1924(大正13)年11月に完成し、市制施行祝賀会が催された。
市庁舎は従来の町役場をそのまま使用していたが、1930(昭和5)年に麓山に新庁舎を建築して移転した。当時の県庁舎をしのぐ規模で建てられたことから、福島県庁の移転も噂されるほどであった。この建物は現在も福島県郡山合同庁舎として利用されている。
新庁舎が完成した1930年には市章が制定された。これは江戸時代から郡山の標識として使用されてきたもので、現在も変わっていない。翌年には、「郡山市歌」も制定された。「東北一は市の理想」とあるように、市制施行を迎え、今後の発展への意気込みが感じられる。
(徳竹剛)
郡山市歌 作詞 土井晩翠 作曲 橋本国彦
天の時あり地の利あり 人の和ありて事のなる
その現証を見よとこそ 金石透る誠より
栄日に増す郡山
安積の山と浅香沼 古典の中にかんばしき
あさか新たに育英と 殖産及び興業の
機関の名とし今かおる
太平洋と日本海 結ぶ疏水の力見よ
大湖とともに千載の 長きに亙る富の基
東北一は市の理想
市よその昔大帝の 竜駕再びとどまりし
光栄の場つつしみて 心にしるしああ奮へ
先人われに則与ふ
(参考文献)
橘輝政『郡山財界秘史』
郡山市編『郡山市史』
郡山商業会議所編『郡山商工案内』1926年版
田中正能編『写真集明治大正昭和郡山』
郡山市編『郡山の歴史』2004年版