日本の農業の衰退(すいたい)が危惧(きぐ)されて久しい。食糧自給率は1960(昭和35)年の79%から40%までに低下した。日本の農業に大きな変化が生じたのは60年以降である。60年から2010(平成22)年までの推移を見ると、GDPに占める農業生産は9%から1%へ、農業就業人口は1,196万人から252万人へ、農家戸数は600万戸から285万戸へと減少した。
農家のGDPに占める割合や農業就業人口の減少は、ベティー・クラークのいう「経済の高度化」によるもので日本の特殊事情ではない。
日本の農業人口が四分の一に減ったのに対し農業戸数は二分の一に減ったに過ぎない。そのため農業就業人口が農家戸数を下回るという奇異な現象が起こっている。これは兼業農家が増加しているためである。農業以外の職業に就きながら週末に農業に従事するか、又は残された高齢者が代わって農業を営むという形式である。