4 変化の中の郡山経済(二〇〇〇年代以降)

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 「構造改革」のもとで金融機関の不良債権の解消が重視されたが、企業再建・再生の方法で経営の建て直しを図る方策も功を奏し、2003(平成15)年には県内主要銀行の財務内容は大幅な改善を見た。世は「いざなぎ超え」などといわれるまでの長い、緩やかな景気回復の時期を経験した。しかしまさにそのとき、世界規模での金融危機に巻き込まれることになったのである。

 この間の郡山市経済の動きを象徴する出来事がいくつかあった。リニューアルした老舗のうすい百貨店とホテルはまつの経営破綻(けいえいはたん)、そして駅前百貨店丸井の撤退(てったい)である。バブル経済時代の勢いで過剰(かじょう)な投資を行ったのが破綻の原因となったケースもあり、経済の構造変化への対応が企業にとって死活的な意味をもつことを物語るものだった。

 郡山市および民間経済団体は、こうした困難に立ち向かって懸命(けんめい)な努力を重ねてきた。市の経済政策の基調は、都市型の「内発的発展の道」と呼べるもので、人材を含む地元の経済資源をフル動員し、とくに中小企業の地力を培養(ばいよう)することで不況に対処しようとするものと見ることができる。

 農業においても多様な担い手の育成、環境保全への配慮、食の安全・安心、そして都市近郊農業の特色を踏まえた「都市と農村との交流」など、社会の変化に対応した施策が講じられるようになった。観光の分野ではコンベンション・シティづくりや「楽都郡山」の振興が施策として掲げられ、ソフト事業の重要性が高まっている。

(清水修二)