地域性とは、その地域の「個性」とか「魅力」というようなものである。それは過去から現在にまたがりその地域に生きてきた人々のコンセンサスによって創造され、伝統・文化として根付いたものである。郡山市は、かつて「東北のウィーン」と呼ばれていた時期があった。このような呼称がついたのは、多くの市民が音楽に対する造詣(ぞうけい)が深かったからであろう。その証拠に多くの音楽家が輩出されている。例えば、世界的に活躍している作曲家・湯浅譲二、指揮者・本名徹次、元東京芸大教授・船山隆などは有名である。更に郡山市が音楽都市として全国にその名を知らしめたのは、安積黎明高校合唱団の活躍である。1980(昭和55)年全日本合唱コンクール高校の部で金賞を受賞して以来、2011(平成23)年まで連続32回守り続けたことは快挙であり、言うまでもなく楽都郡山の「顔」であり、誇りでもある。
本来、地方都市の顔は駅とその周辺でなければならない。郡山駅西口の再開発ビル「ビッグアイ」は21世紀の郡山の「顔」として建設されたハードのシンボルである。このハードのシンボルと楽都郡山のソフトをいかに結合するかが大切である。
(小野澤元久)