第3図は2000年度と2010年度における業種別の製造品出荷額等を円グラフで示したものである。2000年度における郡山市の産業の主力は、飲料・たばこ等、電気機械器具等で、全体の60%を占めている。中でも電気機械器具は全体の32%を占め、事業所数、従業者数も共に全体の30%を超え、地域における基幹産業として郡山市の工業を支えてきた。しかしながら2010年度には、これまでの様相が一変する。地域の基幹産業であった飲料・たばこ等や電気機械器具の全体に占めるシェアが半減し、代わって新たに電子製品・デバイス等や情報通信機械器具等がシェアを拡大してきたことは注目に値する。
以上述べてきたように日本の地域経済は、産業集積の低迷により雇用の面で厳しい状況下に置かれている。中でも電気機械器具分野の衰退(すいたい)は大きな痛手である。しかし、一方で電子製品・デバイス等や情報通信機械器具等の産業の台頭は明るい兆(きざ)しでもある。今後の企業誘致を進めるに当たり、考慮しなければならないことは、EMS企業と競合する分野、すなわち「アルカイック・スマイルカーブ」のボトムの分野を避け、より川上の高付加価値の産業集積を図らなければならない。
(小野澤元久)