千年に一度と言われるマグニチュード9.0の大地震が、2011(平成23)年3月11日午後2時46分、東北地方三陸沖を震源として発生した。さらに間もなく大地震によって生じた大津波が襲来し、その高さは最大10m超という巨大なものだった。この地震と津波の犠牲者(死亡・行方不明)の数は1万8,534人に及び、福島県浜通りでも1,848人が死亡または行方不明になった。
「東日本大震災」と呼ばれることになったこの災害は、さらに未曾有(みぞう)の二次災害を引き起こした。東京電力福島第一原発が、地震による送電線の断絶および津波による非常用発電機の停止で全電源喪失(そうしつ)となり、原子炉の冷却ができなくなって空焚(からだ)き状態になった。そして炉心で発生した水素がもれて引火・爆発し、三つの建屋が吹き飛ぶとともに、核燃料は溶融(ようゆう)(メルトダウン)して圧力容器の底を突き破り、一部が格納容器にまで落ちているものと思われる。この事故は、福島県および関東地方の一部を含む一帯に広範囲な放射能汚染を引き起こし、社会・経済に甚大な被害を及ぼした。