<第20回知事選挙>
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故後初となる県知事選挙は2014(平成26)年10月9日告示、26日投票で行われた。過去最多となる6人の新人が立候補し、副知事を辞した内堀雅雄が他の候補に大差を付けて初当選を果たした。内堀は無所属での出馬であったが、与野党相乗りの盤石な組織力をもって49万384票、このうち郡山市では7万128票を獲得している。
佐藤雄平知事が告示約1ヵ月前にようやく進退を明確にしたのを受け、内堀は復興政策の継続を掲げて立候補の意思を表明した。民主党県連は現職の後継候補として内堀の擁立を決定し、民主、公明、社民の各党が支援する態勢をとった。自民党県連は元日銀福島支店長の擁立を機関決定していたものの、福島県知事選での敗北を忌避したい党本部の意向で独自候補擁立を断念し、内堀の支援に回るという経過をたどった。
内堀は2001(平成13)年4月に自治省(現・総務省)から県に出向したキャリア官僚であり、郡山市が地元の佐藤栄佐久知事時代に県生活環境部次長、生活環境、企画調整両部長を歴任した。いずれも原発に関わるポストであり、原発の安全安心、国のエネルギー政策と対峙する知事のもとで県政課題に取り組んだ。佐藤雄平知事の誕生によって副知事に就任し、東日本大震災後は東京電力福島第一原発事故への対応、復興政策等で知事を支えた。
今回の知事選において、郡山市の情勢は以下のように報じられた。
商都・郡山市では、自民県連の候補者擁立をめぐる混乱に加え、昨年4月の市長選の余波が残る。市議会最大会派の「創風会」は自民の市議18人で構成している。市長選は支援した当時の現職が惜敗。内堀の事務所は当選した現市長の品川萬里(まさと)の支援者や民主関係者らが中心となって切り盛りする。
創風会所属のベテラン議員は「選挙事務所から動員の要請もない」と明かす。10日の街頭演説では、事務所の指示が行き届かず、想定した人員を集められない事態が起きた。
一方、熊坂義裕陣営は自民や政府、現県政への批判票の掘り起こしにも力を入れる考えだ。だが、経済人など核となる支援者が不在で、選対関係者は「今のところ組織的な運動には至っていない」と話す。
郡山市が地元で「内堀を応援できない」と民主党県連代表を辞任した参院議員の増子輝彦(本県選挙区)の支持者の票がどう流れるかも注目されている(『福島民報』2014年10月12日)。
他の5候補者(いずれも無所属)の得票は以下の通りであった。元岩手県宮古市長の熊坂義裕12万9,455票(このうち郡山市・1万7,983票)、元双葉町長の井戸川克隆2万9,763票(同・3,957票)、会社役員の金子芳尚2万5,516票(同・2,680票)、コンビニ店長の伊関明子2万4,669票(同・4,480票)、牧師の五十嵐義隆1万7,669票(同・2,518票)。
郡山市の投票率は39.69%と4割を下回った。地区別に見ると、湖南が60.0%で唯一の6割台であり、他の12地区は全て40%から30%台に落ち込んでいる。最も低いのは富久山36.95%、次いで喜久田38.10%、安積38.37%となっている。
<第21回知事選挙>
任期満了に伴う知事選挙は2018(平成30)年10月11日告示、同月28日投票で行われ、現職の内堀雅雄(無所属)が再選された。現職に無所属の新人3人が挑む選挙戦となったが、内堀が65万982票(このうち郡山市・9万2,984票)を獲得し、得票率は91.2%に達する圧倒的な勝利であった。県選管によると、これは1992(平成4)年に佐藤栄佐久知事が過去最高の87万票余で再選された際の得票率91.7%に次ぐ高さである。
内堀が6月定例県議会で立候補を表明したのを受けて、自民、国民民主、公明、立憲民主、社民の各党などが支援を決め、共産党以外の与野党相乗りの状況から事実上の信任投票の様相であった。内堀は、県内において前回より16万票余、郡山市においても2万2,800票余を上乗せしている。
共産党県委員長の町田和史は3万5,029票(このうち郡山市・5,025票)、会社役員の高橋翔は1万7,159(同・3,417票)、自営業の金山屯は1万259票(同・2,388票)という結果であった。
郡山市の投票率は前回に続いて38.95%と4割を下回っている。本県の投票率は45.04%で、18歳選挙権が適用された初の知事選挙であったが、18歳の投票率41.32%(郡山市・38.62%)、19歳は19.84%(同・18.56%)、10代平均が30.74%(同・28.58%)となるなど若年層での投票率が特に落ち込んだ。