3 議長・副議長

 議会を円滑に運営するべく議事の整理や議場の秩序を保持する議長、そして議長を補佐する副議長はともに議会を代表する重要な地位にある。地方自治法には、議長、副議長の任期は議員任期(4年)によると定められているが、郡山市議会においては市議会の申し合わせ、慣例により、議長、副議長が自主的に辞職願を提出し、2年ごとに正・副議長選挙が行われてきた経緯がある。

 2013(平成25)年9月の正副議長選挙においては、単記無記名投票の結果、最大会派の高橋隆夫(創風会・5期)が22票を得て新議長に選出された。選挙の結果をみると、遠藤敏郎(新政会)が11票、橋本憲幸(共産党郡山市議団)、飛田義昭(社民党)が各3票、駒崎ゆき子(郡山の未来をつくる会)が1票を獲得している。

 副議長選挙においては小島寛子(郡山市議会公明党・4期)も同数の22票を獲得した。女性の副議長就任はこれが初めてとなった。この他の投票結果は、佐藤文雄(新政会)が9票、高橋善治(共産党郡山市議団)、村上武(社民党)が各3票、岩﨑真理子(共産党郡山市議団)2票、駒崎ゆき子(郡山の未来をつくる会)1票であった。

 当時の議員数は40人であるから、「創風会は18人、公明は4人の計22人で過半数を占める。自民系の創風会と公明の両会派が正副議長に両氏を推薦することを確認した。品川萬里市長と距離を置く両会派が一枚岩になることで、品川市長の政策を厳しくチェックする姿勢も明確にする」(『福島民報』2013年8月29日)と報じられた。

 2015(平成27)年9月の臨時会においては、議長に今村剛司、副議長に鈴木祐治を選んだ。2人はともに創風会所属の5期目である。今回の改選期から定数が38となり、創風会の所属議員が19人と半数を占めたことで正副議長ポストを独占するにいたった。

 議長選挙において今村は29票を獲得している。飛田義昭(社民党)と高橋善治(共産党郡山市議団)が各3票、八重樫小代子(社民党)と箭内好彦(無所属の会)が各1票、無効票1票であった。

 副議長選挙については、鈴木が23票を得た。次いで遠藤敏郎(新政会)が7票、岩﨑真理子(共産党郡山市議団)4票、八重樫小代子(社民党)3票、箭内好彦(無所属の会)1票という結果であった。

 市議会においては、第一会派から議長、第二会派から副議長を出す、という慣例が存在している。ただ、会派の勢力や市長選挙の結果等によって過去にもその慣例が破られたケースはあった。本来ならば第二会派である新政会から選出されるはずの副議長ポストは、前述のように過去2回の選挙で自民系の最大会派、中央で連立を組む公明系議員が占めたが、2017(平成29)年の正副議長選においては、議長に佐藤政喜(志翔会)、副議長に遠藤敏郎(新政会)が順当に選出される運びとなった。2人はいずれも5期である。

 議長選挙においては佐藤が34票を獲得し、高橋善治(共産党郡山市議団)3票、八重樫小代子(社民党)1票という結果であった。副議長選挙においては遠藤が34票を得て、次点は岩﨑真理子(共産党郡山市議団)の4票であった。

 2019(令和元)年の臨時議会においては、議長に七海喜久雄(志翔会)、副議長に田川正治(郡山市議会公明党)を選出した。2人はともに5期である。七海の獲得票数は23票、次点の遠藤敏郎(新政会)が14票、八重樫小代子(社民党)1票という結果であった。

 副議長選では、田川が19票を獲得、次点が諸越裕(緑風会)の14票、岡田哲夫(共産党郡山市議団)2票、遠藤敏郎と廣田耕一(いずれも新政会)、高橋善治(共産党郡山市議団)の3人が各1票であった。

 2021(令和3)年の選挙では、議長に塩田義智(志翔会)、副議長に伹野光夫(郡山市議会公明党)を選出した。2人はいずれも4期である。今回の議長選挙においては、議員37人による投票によって塩田と遠藤敏郎(新政会)がともに16票を獲得している。この他、岡田哲夫(共産党郡山市議団)が2票、無効票が3票あった。

 地方自治法等においては、得票数が同じ場合、くじ引きによって決めると定められており、今回は遠藤が1番目、塩田が2番目にくじを引いた。第二会派の新政会から議長が選出される可能性もあったが、当選くじを引いたのは塩田であった。副議長選については、伹野が過半数を超える19票を獲得している。次点は八重樫小代子(立憲・社民フォーラム)の12票、諸越裕(緑風会)4票、高橋善治(共産党郡山市議団)2票という結果であった。

 なお正副議長選については、所属会派などを問わず、議員による立候補制とすることが検討課題に挙がっている。議長、副議長選出の過程を透明化することなどを狙いとした議会改革の一環であるが、任期の見直しも含めて未だ議論の途上にあるという。

(佐久間 道子)