第五次総合計画は2008(平成20)年4月を始期とする10年間の計画であった。同計画は郡山市の「主要課題」を「地球環境を守る安全・安心なユニバーサルデザイン社会の構築」「少子高齢社会への対応」「都市基盤及び地域コミュニティの再生」「産業の活性化と雇用の安定」「効果的な行財政運営」の5点とし、的確に対応しながら人を惹きつけ住みたくなる魅力あるまちづくりを進めるとした。
これらの課題をふまえ、基本構想では将来都市像を「人と環境のハーモニー 魅力あるまち 郡山」とした。そのまちづくりの基本理念は「市民が主役の郡山〜市民の立場と視点で〜」「継続と創造〜新しい開拓者の心で〜」「ハードよりソフト〜自然と人にやさしいまちづくり〜」「選択と集中〜効率的で効果的な運営を〜」の四つからなる。「まちづくりは、人づくり」を基本として、市民が主役の協働のまちづくりのもと、都市の特性を最大限に生かしながら「安全・安心で快適な生活を送ることができ、ふるさと郡山に愛着を持ち、人を惹きつける都市力のあるまち」を目指すとうたった。
その実現のため、前期・後期の5年間ずつに分けて基本計画が策定された。第五次総合計画では、基本計画を「基本構想に基づき各部門ごとの基本施策の内容を体系的に明らかにするもの」と位置づけ、基本構想における六つの大綱と22の基本施策に紐付けられる53の施策を提示した。ここではその前期基本計画の終期に至る残り1年3ヵ月を取り上げるが、これはすなわち計画の成果の確認となる。そこで後期基本計画における前期基本計画の評価である「第五次総合計画におけるこれまでの主な取り組み」について、六つの大綱に即してまとめる。
a 大綱1 信頼の絆で結ばれた市民が主役の協働のまち
基本施策1.「支え合い誰もが心通うまち(協働、地域コミュニティ)」では市長と町内会長等との懇談会を5年間にわたり開催した他、協働のまちづくりを推進するための事業が行われた。2.「男(ひと)と女(ひと)が認め合うユニバーサルデザインのまち(ユニバーサルデザイン社会、男女共同参画社会)」では第二次男女共同参画プラン、こおりやまユニバーサルデザイン推進指針の策定が行われた。3.「市民の視点に立った戦略的で新しい行政経営を進めるまち(シティセールス、行財政経営)」では大槻ふれあいセンターの整備などが取り組まれた。
b 大綱2 ともに学び、ともに育み、未来を拓くまち
基本施策1.「個性を伸ばし生きる力を育む教育のまち(学校教育、教育環境)」では小・中学校耐震補強事業、2.「一人ひとりの学ぶ心を大切にするまち(生涯学習)」では中央公民館堤下分室整備事業、4.「スポーツを楽しみ新たな自分にチャレンジできるまち(生涯スポーツ)」では開成山野球場整備事業というハード整備が主な取り組みとしてあげられた。一方、3.「歴史と文化、そして音楽にふれて豊かなときを感じるまち(文化、音楽)」では音楽都市宣言記念式典の開催、5.「出会い、つながり、人の輪が広がるまち(都市間交流、国際交流)」では奈良市姉妹都市提携40周年事業というソフト事業が主な取り組みとされた。
c 大綱3 安心して生きいきと暮らせる健康福祉のまち
基本施策1.「ともに支え合う思いやりのある地域福祉のまち(地域福祉)」では第2期郡山市地域福祉計画が策定された。2.「元気な笑顔がはじけるまち(子育て環境、子どもの活動環境)」では、こども総合支援センター・ニコニコこども館が整備された。3.「安心感に包まれやさしさがあふれるまち(高齢者福祉、障がい福祉)」では地域密着型サービス拠点整備事業による小規模多機能型居宅介護施設整備費用の助成が行われた。4.「健康で自分らしく暮らせるまち(保健医療)」ではおたふくかぜ・水痘の予防接種費用の一部助成が県内で初めて実施された。
d 大綱4 人と地球にやさしい持続可能なまち
基本施策1.「自ら行動して地球環境を守るまち(新たなエネルギー社会の構築)」では住宅用太陽光発電システム導入促進事業を実施、その設置費用助成を行った。2.「未来に豊かな緑を引き継ぐまち(自然環境、良好な環境維持)」では猪苗代湖水環境保全調査等対策事業が、3.「身近な暮らしを快適に過ごせるまち(住宅、水道、下水道、公園、霊園)」では下水道長寿命化事業と浄水施設統合事業が主な取り組みとしてあげられた。
e 大綱5 活気にあふれ躍動する産業のまち
基本施策1.「食と農を育む魅力あふれる農林業のまち(農業、林業)」では、こおりやままるごと給食の日事業が2008(平成20)年から2010(平成22)年にかけて行われるなど地産地消が推進された。2.「活力と賑わいのある商業のまち(商業)」では小規模事業者経営改善資金利子補給事業による事業者への支援が行われた。3.「新しい価値を創造する工業のまち(工業、企業誘致)」では西部第一工業団地開発事業が、4.「感動に出会える観光・コンベンション施設のまち(観光、コンベンション)」では観光物産振興事業が、5.「安心して生きいきと働けるまち(雇用)」では緊急雇用対策事業が主な取り組みとして進められた。
f 大綱6 都市と自然が調和する快適で安全なまち
基本施策1.「将来に向け計画的な視点で発展するまち(土地利用、中心市街地)」では中心市街地活性化推進事業を5年間にわたり行い、市街地再開発事業に対する支援や商店街などへのアドバイザー派遣等を行った。2.「すべての人が安心して円滑に移動できるまち(総合交通体系、道路空間)」では都市計画街路事業、3.「誰もが安全・安心に生活できるまち(防災、治水対策、防犯、交通安全)」では新・合流式下水道緊急改善事業といったハード整備が主な取り組みとしてあげられた。