2012(平成24)年3月に成立した福島復興再生特別措置法に基づいた広義の福島再生加速化交付金制度が、避難指示区域解除のタイミング等に併せて漸進的に交付対象事業を拡大しながら構築されていった。同制度は避難指示を受けた12町村を主な対象としたものであるが、郡山市が事業主体として交付対象となりうる事業も含まれていた。市が交付を受けたのは、広義の福島再生加速化交付金のうち、子育て世帯が安心して住める環境を整備するための福島定住等緊急支援交付金(子ども元気復活交付金)、及び避難住民の早期帰還の促進を目指した帰還・移住等環境整備交付金である。
福島定住等緊急交付金は2013(平成25)年7月から交付が開始されたもので、市は2015(平成27)年10月までの間、7回にわたり復興庁から交付を受けた。学校・保育所・公園等の遊具の更新、開成山屋内水泳場の設計・改修工事、郡山市カルチャーパークにおける屋根付き多目的グラウンド整備、大安場史跡公園の整備がその対象事業である。帰還・移住等環境整備交付金においては、2015(平成27)年7月から2021(令和3)年4月までの間、市は8回にわたり交付を受けた。当該交付金を活用した事業は、中通りの自治体も対象であった農業水利施設等保全再生事業、及び個人線量管理・線量低減活動支援事業であった。幅広く展開されるに至った国の交付金制度を活用し、市は放射線被害への対応や公共施設等に支えられた生活環境の回復、農業の再構築に取り組んだのである。